準々決勝: 八十岡翔太 vs 有田隆一
「今までベスト 8 で 2 回死んでる」とは有田。
もちろん、「ヤソコン」で知られる八十岡も内心期するものがあるだろう。
今二人が手にするは、まさにその「ヤソコン」。
75 枚同じのコンプリート・ミラーマッチである。
ミスをしないのは当然のこと。その上で、幸運の女神を味方につけられるのはどちらだろうか。
Game 1
互いに《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を第 2 ターンに送る立ち上がり。やることがわかっているのでテンポよくゲームが進むが、先に土地が止まってしまったのは八十岡。
先んじる形となった有田が、八十岡が《呪師の弟子》でドローする隙にこれを《ブーメラン/Boomerang》してカウンターしようとするが、これは《撹乱する群れ/Disrupting Shoal》で成就しない。
そこから、有田が仕掛け八十岡が受ける形が続く。
《潮の星、京河/Keiga, the Tide Star》、《曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror》、《呪師の弟子》を《忌まわしい笑い/Hideous Laughter》で流し、《巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls》、果ては土地に至るまで、レジェンド・ルールでつぶしあう。
いつしか土地がずらりと並ぶ場になった。
こうなった場合、勝負を決めるものは一体何なのか?
デッキの内容が違う場合、それはデッキに搭載されたカウンターの厚みであったりするのだが、この場合デッキは全く同じ。ならば違うのはドローしかなく、それを見越した仕掛けどころが全てを分ける。
《巻物の君、あざみ》でカウンターをあぶりあった後、互いの墓地をチェックして残りカードを推測する。そして《真髄の針/Pithing Needle》は自分が引ききったカードをそれぞれ指定するようになる。
有田は《巻物の君、あざみ》を、八十岡は《曇り鏡のメロク》を指定した。
八十岡はドローがやや多かった有田のライブラリ差で勝つ算段か。
かと思えば、今自分で禁止したばかりの《曇り鏡のメロク》をプレイしてみたりする八十岡。
その答えはじきに分かることになる。
《鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni》だ。
忍術はカウンターできない。《ブーメラン》は有限だ。ある程度時間が経てば、クリーチャーを通すことは、すなわち致命的な《鬼の下僕、墨目》を許すことになりかねない。
しかもライブラリで負けている以上、有田は動いていかざるを得ない。
だが、有田の《鬼の下僕、墨目》は《霊魂放逐/Remove Soul》でカウンターされ、逆に八十岡の《鬼の下僕、墨目》が通っては、どうしようもなかった。
「《霊魂放逐》引かんねー」と有田。
八十岡 1 - 0 有田
Game 2
またも第 2 ターン《呪師の弟子》から発進の有田だが、これは《撹乱する群れ》に阻まれる(コスト《ブーメラン》)。
今度も静かな展開かと思われたが、第 6 ターンに有田が《呪師の弟子》。これは通るが、返しのターンが今回の天王山。
八十岡《不忠の糸/Threads of Disloyalty》→有田《巻き直し/Rewind》
返しに有田《迫害/Persecute》!
これで一気に優位に立ち、《潮の星、京河》《巻物の君、あざみ》《呪師の弟子》と出して圧勝。
八十岡 1 - 1 有田
Game 3
青コントロールのミラーマッチだが、両者のプレイングが恐ろしく速いため、それほど時間を感じない。
気づけば天王山の第 3 ゲームだ。
今回は序盤に動きなし。
中盤に何かあるとすれば、どちらかのマナベースが伸びないこと。リアクションは(原則的に)マナに依存し、直接的にはマナを伸ばす手段が青にはない以上、そこは最低限の基礎リソースなのだ。
参考までに書けば、それを防ぐために、ミラーマッチでは土地を増やしたりする作戦もありうる。
そして今回、それが八十岡に襲い掛かる。土地が 4 枚で止まってしまったのだ。
だが有田の動きが良いというわけでもなく、彼の初動は《ディミーアのドッペルゲンガー/Dimir Doppelganger》。
「……?」という雰囲気が流れるが、これは通されて《最後の喘ぎ/Last Gasp》で退場。
動いてもらった以上、返しで八十岡も動く。
八十岡《迫害》→有田《マナ漏出/Mana Leak》
これが通って有田のカードが墓地へとなだれ込んでいく。八十岡にとって気になるのは、そのカード群がいまひとつ弱いものであったことと、残った 1 枚のカードか。
返すターン、有田の手には《鬼の下僕、墨目》。場には土地 5 枚。
「ランドランド~♪」と有田。
……しかし引いたのは土地ではなく、勝負はしばらく続行することに。
ふたたび戦力補充のお時間。
致命的な《迫害》が通ったにもかかわらず、いつしか状況はいつものとおり。これも「《海の中心、御心/Mikokoro, Center of the Sea》つえー」(有田)のおかげか。
機がじゅうぶん熟すと、ふたたび五分になった場をめぐり、もう一度 2 人が動く。
八十岡の《呪師の弟子》→これは通る。
ターンが変わって、
有田はこれに《不忠の糸》→八十岡《邪魔/Hinder》。
続けて有田は本命の《迫害》→八十岡《邪魔》→有田《撹乱する群れ》(コスト《ディミーアのドッペルゲンガー》)→これを解決してから八十岡《撹乱する群れ》(コスト《巻き直し》)→これに有田《邪魔》→結局《迫害》が通る。
八十岡の手から《邪魔》《巻き直し》が落ち……彼がカウンターをほぼ引ききっていたことが明らかになった。
しかし八十岡の返しのドローは……値千金の《ディミーアのドッペルゲンガー》! 即座に《巻物の君、あざみ》に変身し、ドローを進める。
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その隙にと有田の《鬼の下僕、墨目》が通るが、《ディミーアのドッペルゲンガー》の能力がそれを封じる。つまり、能力の対象にとられたクリーチャーを《ディミーアのドッペルゲンガー》で消せばいいわけだ。
さらに八十岡は勝負の《曇り鏡のメロク》! たとえ今引いたカードでカウンターされようとも、《ディミーアのドッペルゲンガー》が控えるこの状況ならそれは通ったのと同じこと。
だが有田の引き当てていたカードは、どこまでも状況に沿いすぎていた。
《邪魔》!
さらに有田は《最後の喘ぎ》を引き当てて《ディミーアのドッペルゲンガー》の除去に成功。これを自陣に加えると、あっという間の大逆転。
さらにトップから《潮の星、京河》を引き当てて、八十岡に迫る。
自信を持って組み上げたデッキ。その最大の敵は、75 枚同じカードで構成されたデッキだったというわけだった。
八十岡 1 - 2 有田
さて懸案の準々決勝を突破した有田。
同じデッキを使う有留とともに、「ヤソコン」の強さをさらに示すべく王座に挑む。
Ryuichi Arita defeats Shota Yasooka, advance to semifinal.
Last Moment - Yasooka Shota / Lord of Magic Championships 2005 | |
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4 呪師の弟子/Jushi Apprentice 3 巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls 2 曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror 1 潮の星、京河/Keiga, the Tide Star 1 鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni |
3 不忠の糸/Threads of Disloyalty 3 最後の喘ぎ/Last Gasp 3 疑念の影/Shadow of Doubt 2 迫害/Persecute 2 ディミーアのドッペルゲンガー/Dimir Doppelganger 1 潮の星、京河/Keiga, the Tide Star 1 抗い難い知力/Overwhelming Intellect |
Yasocon - Arita Ryuichi with Yasooka Shota / Lord of Magic Championships 2005 | |
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4 呪師の弟子/Jushi Apprentice 3 巻物の君、あざみ/Azami, Lady of Scrolls 2 曇り鏡のメロク/Meloku the Clouded Mirror 1 潮の星、京河/Keiga, the Tide Star 1 鬼の下僕、墨目/Ink-Eyes, Servant of Oni |
3 不忠の糸/Threads of Disloyalty 3 最後の喘ぎ/Last Gasp 3 疑念の影/Shadow of Doubt 2 迫害/Persecute 2 ディミーアのドッペルゲンガー/Dimir Doppelganger 1 潮の星、京河/Keiga, the Tide Star 1 抗い難い知力/Overwhelming Intellect |