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Lord of Magic Championships 2005


ギルドの都の歩き方

Written by Yukio Kozakai

金属世界からの別離

ミラディンブロックがスタンダードから退場し、新たにラヴニカより加わる 306 枚のカードたち。それは多色世界からの来訪者であり、第 9 版で復活したダメージランドと共に「複数色推奨」を力強く宣言しているのは、誰の目にも明らかだ。

しかし、コンセプトそのものはミラディンと一線を画すかといえば、そういうわけでもない。「親和」というテーマに基づき、大量のアーティファクトが「色の壁」を薄めていた背景がある。実際に多色のマナを出していたわけではないが、銀色の素材がそれに近い働きを 2 年間に渡ってしていた実績は疑いようが無い。

スタンダードゆえの位置付け

話は変わって、「多色」をテーマにしたお話を一つ。

過去に「多色」を掲げたエキスパンションとして、もっともプレヴューされる機会が多いのはインベイジョンブロックであるのは周知の事実なのだが、ブロック構築のみではなく、注目して頂きたいのはその前後のエキスパンションなのだ。インベイジョンの前後を固めるのは、メルカディアン・マスクス世界のマスクスブロック、そしてオデッセイブロックである。この 2 つのエキスパンションは、特に多色に特化した構成ではない。

Sakura-Tribe Elder

これが何を意味しているかというと、スタンダード構築戦を意識した場合に、前後のエキスパンションは無視して通れないという背景だ。マスクスブロックが《リシャーダの港/Rishadan Port》《黄塵地帯/Dust Bowl》といった多色を排他する構成、オデッセイブロックには多色を構成するカードは多少見受けられたが、すべては《サイカトグ/Psychatog》《激動/Upheaval》で語られてしまう世界だった。

ところが、このラヴニカと共存する神河ブロックは、《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》《木霊の手の内/Kodama's Reach》といった支援呪文を中心に、ベースとしてラヴニカを支える体制ができ上がっていた。そして、もちろん各色ごとに強力なカードが散りばめられているのは言うに及ばない。

つまり、プレイヤーには過去最大級の多色世界が、口を開けて待っている状況なのだ!

注目される対抗色

ラヴニカ世界が与えてくれる多色社会は、これまでのデッキ構築論を根底から覆す可能性がありそうだ。

たとえば、アポカリプスの多色カードはそのすべてが対抗色だった。エクステンデッドでも活躍を続ける《破滅的な行為/Pernicious Deed》を始め、《名誉回復/Vindicate》《弧状の稲妻/Arc Lightning》《魂売り/Spiritmonger》《火+氷/Fire/Ice》などは、ブロック構築の枠を超えて大活躍したカードたちだ。

ところが、なぜかこの対抗色「だけ」で組み上げたデッキは大成しなかった。青緑は、赤をタッチしなければピンポイントで除去が足りず、赤白は、青を加えていわゆる「トリコロール」に仕上げなければテンポもアドバンテージも取りにくく、黒緑はビッグスペルとリセットというコンセプトは固まっていたものの、決め手に欠けて勝ち切るまでには至らず、赤青はフィニッシャー不足に泣かされた。

Goblin Trenches

大きな理由は、やはりマナ基盤の弱さだ。結局のところ、4 枚のダメージランドだけでは支えきれなかったという部分と、マナカーブを前寄りにすればするほどその被害率は上昇するため、黒緑は白を迎えて「ジャンク」という形にし、白赤は青を取り入れて「トリコロールパーミッション」ないし、《ゴブリンの塹壕/Goblin Trenches》を使った「トレンチ」に生きる術を見出した過去がある。このアプローチは、デッキをよりコントロールにする事で、色事故の回避を狙った効果も大きい。色を増やしても、安定感を求めた結果だ。

旧スタンダードでも、神河謀反が出たあたりで《ゴブリンの群勢/Goblin Cohort》《凍らし/Frostling》の赤の 1 マナ圏が充実した影響で、白ウィニーの《今田家の猟犬、勇丸/Isamaru, Hound of Konda》《サバンナ・ライオン/Savannah Lions》と合わせたウィニージャンクを試みたプレイヤーがしばしば見受けられたが、結局のところそれぞれの単色でまとめた方が強かったという結論が出てしまっていた。

対抗色の中でも特に不遇だったのがこの赤白で、いつの時代も赤白ウィニーというテーマはチャレンジされ続けているアーキタイプなのだが、長年の間、主だった成果は上がっていない。だが、それを払拭する機会がいよいよ訪れたと言える環境が整ったと言えよう。

Lightning Helix

前評判の高い《稲妻のらせん/Lightning Helix》はもとより、クリーチャーからは《ボロスの補充兵/Boros Recruit》《ボロスのギルド魔道士/Boros Guildmage》の混成カードたちが序盤のマナトラブルを大きく軽減し、枚数はあまり多くは入れられないが充分効果が期待できる《軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion》など、従来の白ウィニーよりも強化され、安定度は増した。これで今シーズン働けなければ、赤白はもうあと 5 年は戦えないだろう。そこまで言い切って良いほどの強化だ。

Dark Confidant

その反面、パワーカードを揃えつつもラヴニカ環境下で苦戦を強いられそうなのが黒緑だ。

《屍の原形質/Necroplasm》《最後の喘ぎ/Last Gasp》《疫病沸かし/Plague Boiler》といった除去やリセットは豊富だし、《闇の腹心/Dark Confidant》《月光の取り引き/Moonlight Bargain》のサーチカードは、どれだけ機能するかは未知数だが強力な効果なのは間違いない。

しかし、それを生かすデッキがまだ見つかっていない印象だ。スペルもクリーチャーも重過ぎる為、今ひとつラヴニカ単体での回答が見当たらない。けれども、神河ブロックで活躍した「Gifts Ungiven」が黒緑主体のデッキだっただけに、これに上手く組み合わせれば活路が見出せるかもしれない。マナブーストと絡ませた構成は、先程までに掲げた「スタンダードならでは」のコンセプトに合致するからだ。


ともあれ、開幕直後。目指す場所は、まだまだ先にある。

LoM での熱い戦いを大いに生かして、新たな可能性を模索して欲しい。

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